「スマホを落としただけなのに」読書レビュー

昨晩ブックオフに行った。

当初の目的は漫画を大人買いすることだったのだが、漫画コーナーを見るよりも小説やAI関連のコーナーをうろつく方が楽しいと最近感じるようになった。

結局下の小説2冊・人工知能に関する本3冊・啓発本1冊の計6冊を購入した。

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本を買うときに気にすることは、基本的にはデザインとタイトルである。有名な本でも文字の大きさが気に入らなかったらなかなか読む気にはならない。小説はまあ文庫本で読み慣れているので面白ければなんでもいいけど。

 

というわけで今日早速「スマホを落としただけなのに」を読んでみた。

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この話は現在(もう終わったのかな?)映画化もされており、ぜひみてみたいと思っていた。実際見るつもりだったのだが、映画より本の方が安いということに気がついたので本を買ったのである。

 

率直な評価を述べると面白いの一言に尽きる。

主人公・犯人・警察の3つの側面から物語は描かれている。巻末の解説にも書いてあったが、これだけ1人称を変えながら話を展開しているのによく重複した説明もなく描けるものだ。その文才には脱帽をした。

確かに、捜査する側の描写にリアリティが欠けるという点は否めないが一気に読むことのできたスピード感ある展開は映画化にぴったりだろう。

この小説のもう一つ素晴らしい点は、やはり「日常からサスペンスを生み出した」という点にあろう。スマホを落として個人情報を抜かれる、なんてことは現代であれば誰にでも起こりうる話である。きっと年末ジャンボの宝くじを当てる以上に確率は高いだろう。自分のことのように小説を読み始めると、もうその時点で作者の術中に嵌っているのである。僕もしてやられた。

 

自分ごととして捉えることの影響の大きさは例えば僕の興味の矢先である災害研究などにも当てはまる。この辺の話はまた近い未来に書くとしよう。

 

どうでも良いが、小説自体は確かに面白かったのだが巻末の解説での作者の褒めちぎりっぷりは持ち上げてますよ感が激しくすぎて少々笑ってしまった。もしそのつもりで書いていたわけではないのならばもっと自然な褒め方をしてほしいものである。